二枚貝用微粒子配合飼料「M-1」 日本農産工業(株) |
日本農産工業(株)と田崎真珠(株)は、稚貝飼育から利用できる二枚貝用微粒子配合飼料「M-1(エムワン)」を開発、販売を開始した。日本農産工業がアコヤガイやシロチョウガイの種苗生産・陸上養殖用に開発した飼料をベースに、田崎真珠の独自ノウハウを加えて製品化したもの。
水に懸濁させて水槽に撒くだけ M -1は、濾過食性である二枚貝が取り込みやすい粒子サイズ(平均粒径10〜15μm)と栄養成分を兼ね備えており、使い方は水に懸濁させた上で飼育水槽に 撒くだけで良い。また、長期保存も可能である。さらに、種苗生産コストの削減にもつながることから、公的機関のみならず、民間レベルの二枚貝種苗生産事業 での利用も期待されている。 田崎真珠(株)田崎海洋生物研究所ではすでに、M-1をアコヤガイやシ ロチョウガイ等の真珠生産用二枚貝類の稚貝・成貝・親貝の飼育に用いている。さらに、アサリ、ハマグリ、イタヤガイ、クマサルボウ、イワガキ、タイラギな ど様々な食用二枚貝類においても飼育試験を重ねてきており、いずれの貝種でも優れた成績が確認され、その有効性は保証できるとしている。
1gで300億細胞の浮遊珪藻に匹敵 従来、二枚貝育成用の餌料としては、もっぱら微細藻類が用いられてきたが、微細藻類の培養には多大なコスト(施設および労力)がかかるとともに、貝の成長 に伴って必要量の確保に窮するようになることが、二枚貝の種苗生産における最大のネックとなっている。これに対しM-1は、殻長3mm前後の微小稚貝から の使用が可能であり、1gで浮遊培養珪藻300億細胞と同等の餌料効果があるとされている*。また、単独給餌も可能であるが、微細藻類と併用して給餌することで一層の好成績が期待できるという。 *例えば、アサリ500万貝(3mmサイズ)を飼育するためには、最低でも1日あたり約4tの微細藻が必要とされるが(給与する微細藻類をキートセラス・グラシリス、その濃度は400万細胞/mLとした場合)、4tの微細藻類に相当するM-1は532gとのこと。
国産二枚貝の種苗生産コストを軽減 近年、わが国沿岸では、干潟の消失などによってアサリやハマグリなど有用二枚貝類の資源量が大幅に減少し、その資源回復の必要性が叫ばれている。その一方 で、韓国や中国などからのアサリやハマグリの輸入量が増加しているが、これに伴い、輸入貝に混入したツメタガイの大繁殖による生態系の撹乱、外国産アサリ の産地偽装問題などの新たな社会問題も生じている。 こうしたことから、日本農産工業と田崎真珠では、現時点での二枚貝用配 合飼料の市場規模は小さく、今後についても未知数部分が多いものの、M-1によって二枚貝の種苗生産事業が行いやすくなれば国産二枚貝資源の回復に寄与で きること、また、アサリやハマグリの蓄養や養殖への応用も期待できることなどから、今回の発売に踏み切った。 M-1についての問い合せは、日本農産工業(株)水産部(TEL 045-224-3705)まで。 |